顧客へ伝わるメッセージを考えるというプロセスは、実は何故この事業を行うのかという本質的な問いかけになります。これを、価格勝負ではどうにもならない状況にありながら、中高齢者層が主な顧客の架空の小規模な食品スーパーを例に、顧客に伝わるメッセージの事例を紹介します。
(コラム)中小企業が実践すべき顧客密着型ビジネスの考え方
中小企業が勝ち残りを掛ける戦い方を考える上で、最も実践的な思考法がランチェスター戦略です。ここでは、業界首位の企業や事業が勝者、それ以外は敗者であると言いきっています。たとえ著名な巨大企業であっても、業界首位でなければ敗者となります。
ランチェスター戦略では、たとえば営業やサービスに関与する人員やその教育やサービスレベル、商品やサービスの魅力などを考慮して、これを組織的に展開する力を戦闘力としています。業界首位の企業は当然ながらその戦闘力が優れているからこそ、今の地位にあります。
敗者である企業は総力戦ではなく、勝者の企業が総力戦では戦えない、戦場を限りなく限定した局地での戦いを挑むべきなのです。局地戦では、相当に限られた範囲での戦いとなりますから勝者も総力で挑めませんし、局地ではその戦場を知り尽くした敗者が優位に立つこともできます。敗者が勝負を挑むのは、局地戦であるべきとランチェスター戦略では帰結しています。
(コラム)判断で陥る無意識の誤りとは
経営トップから事業現場の最前線で奮闘する社員に至るまで、企業活動は日常的にさまざまな判断が下されることで動いています。人がすることですから、これらの判断には必然的に多くの誤りが含まれていて当然です。しかし、それを単に当たり前なのだから仕方がないとしていたのでは、誤りを含む判断の連鎖の結果である企業活動成果に、とんでもない過ちをもたらすことにもなりかねません。
誤った判断を冒す大きな要因に、人間ならではの思い込みによる思考の偏向がそこに入り込むことがあります。この思い込みは無意識に判断に働にかけます。このため、そのような意識の偏向があること自体を認識することなく、思い込みに引きずられた誤った判断を何の疑問もなく下すことになります。
誤った判断を導く思い込みには具体的にどのようなものがあるのか。それを理解していれば、判断にこのような思い込みによる偏向が影響していないのか、一歩下がって見直してみることができます。
(コラム)顧客の購買反応をより的確に見極める考え方
情報社会の進展で、企業活動の現場にはさまざまな情報が溢れ返っています。しかし、情報がいくらあっても、それを的確に理解し判断しなければ、企業経営や実務の現場でそれらを活かしきることはできません。また、せっかく求める情報があったとしても、それに間違った解釈を加えて利用すれば、思わぬ弊害をもたらします。
これを理解するための一例として、新商品を市場に導入する前の試験販売での事例をみていきます。ここでは、顧客の購買反応を数値で解釈する場合の誤った見方と正しい見方を紹介します。これは特定の状況を前提にした事例ですが、これに類似することは企業経営や実務の最前線で頻繁に起きており、応用範囲の広い手法です。また、数値を扱いますが、考え方自体はとても単純なものです。
(コラム)中小企業にもできる事業の強みを生む思考法
事業戦略の立案手法は、数多輩出され、多くの企業で取り組まれています。しかし、これらの手法の多くは大手企業で生み出され、実践されてきたものばかりで、残念ながら、さまざまな経営資源の制約のある中小企業では、上手く活かされていません。
ここでは、中小企業でもできる、今ある事業の本質的な強みを把握し、それを事業力の強化に活かす思考法を紹介します。それは既存の顧客、すなわちリピートして購買してくれる顧客を、徹底して大切に取り扱うという、当たり前のことを行うことです。しかし、当たり前でありながら実践できていない企業が多いことから、本質的な事業の強みを見出せず、せっかくの事業機会を失っていることも事実です。
ここでは、一般のコンシューマー向けの商品やサービスを取り扱っている企業を例に、重要な顧客を大切に扱い、事業機会を拡大するための考え方を紹介します。
(コラム)粗利経営の考え方(値引き販売が事業の体力を損なう理由)
売上の多寡が、企業や事業の存続に著しい影響を及ぼすことは明白です。しかし、そうであるからと言って、何が何でも売上を上げることだけを目標に事業を展開すると、反対に事業の体力を損なう結果をもたらします。利益を稼ぐことができない状況が普遍化し、事業の存続を危うくする状況を招くことがあるのです。
事業運営という大局的な判断のみならず、現場での個々の商品やサービスへの値付けとう局所的な判断においても、それが利益の裏付けとなるのかを考える癖をつける。それを企業の仕組みとして根付かせることが、粗利経営です。粗利は現場で働く方々にも理解し易いものであり、考え方もシンプルです。そして、一旦粗利経営の考え方を理解すると、営業利益と言う本来事業が目的とすべき高いレベルの目標について理解する礎が出来上がります。
(コラム)安易な値引きが招く利益獲得力の低下とは
業績目標達成のためのバーゲンセール。在庫を捌くための値引き販売。理由や目的はどうであれ、定価の半値と表示されれば消費者の心は動きます。事業者にとっても手を出しやすい値引き販売ですが、それはもっと大切な判断をないがしろにしてしまった結果ではないでしょうか。
そして、値引きという表面的な現象は、粗利という大事な果実を損なう以外にも、事業の魅力を損ない、企業の資金余力を奪っている行為であるかもしれないのです。これを次の簡単な事例でみていきます。
(コラム)大切な財務分析指標を誰でも分かって使える仕組み
厳しい経済情勢が続く中、多くの中小企業は毎月苦労しながら決算を行い、事業の成果を適時に把握しようと努力しています。さらに、まとめられた決算書を元に、経理部門や顧問税理士が財務分析を行い、その成果が経営者に報告されるということも当たり前の状況となりました。
しかし、労力やお金を掛けて作られる財務分析の指標が、日常の経営の中で有効に利用されていないことも事実です。それは、経営者から現場の従業員まで、財務分析の指標が単なる数値に過ぎず、それが経営や現場の実務と結びつけて考えることができていないためです。ここでは、「売上高総利益率(粗利率)」というとても身近な財務分析指標を用いて、これを経営や実務で有効活用するための考え方を紹介します。
(コラム)1枚のシートから見える中小企業が利益を生む仕組み
決算書を企業経営に活かしていない中小企業を多く見受けます。確かに、数値の羅列である決算書をただ眺めただけでは、経営に関するヒントを何も得ることが出来ません。
そこで、決算書を図表化して視覚的に把握する、「決算書の見える化」という工夫をします。これは、決算書をざっくりと把握する手法ですが、それだけでも企業経営の実態が見えてきます。その細目が気になるのであれば、顧問税理士等に確認すれば、大局的に経営を把握するという軸を持った上での経営判断が行えます。
(コラム)キャッシュフローの図表化で分かる事業の現状
キャッシュフローというと、何かすごいことのように聞こえますが、実態は資金収支のことです。資金収支というと資金繰り表が思い浮かびます。資金繰りでは、絶対に支払うお金が無いという状況を招かないために、資金収支の状況をこと細かに描きます。それに対して、キャッシュフローでは資金収支の状況をざっくりと大まかに画きます。
キャッシュフローの源である資金は企業活動の潤滑油であり、人間であれば血液に相当します。体中を駆け巡る血流の状況はどうなっているのか。どこかで血流が滞って体調を崩すことになっていないか。どこの血流の循環を良くすれば、もっと体調が良くなるのか。これと同じことを、企業活動での資金の流れとして明らかにするのがキャッシュフローであり、この概要を記載したものがキャッシュフロー計算書です。
(コラム)顧客価値志向の価格政策
顧客価値志向の価格政策とは、顧客の感じるお買得感を元に、より購買意欲を喚起させ、より高い利益を獲得するための価格設定法です。
この価格設定法には、顧客個別の属性に基づくもの、商品やサービスのプレミアム化を図るもの、相互補完関係にある複数の商品をパッケージ販売するものがあります。これらの手法を複数組み合わせることで、より高い効果を狙った価格政策が実施されています。