勘違いしているIT技術者が要らないシステム作りのオートメーション化

ピーター.F.ドラッカーという方がいます。日本でも「もしドラ」という本も映画も売れて有名になりました。公立高校の弱小野球部でマネージャーを務める女子高生が、ドラッカーの経営書の本を読み部の組織作りに活かすというストーリーでした。


第2次大戦中、米国ジェネラル・モーターズ(GM)社の経営トップからの依頼で事業を緻密に分析し、その成功要因を理論化したことで大きな評価を得ました。その事業の成功は、大戦後の経済環境ではそう長くは続かないということも見抜いて報告したため、残念ながらGM社では評価されませんでした。しかし、ドラッカーの理論は多くの企業で活用され成功に導き、その名声は今もって日本の大企業にも影響をし続けています。


そのドラッカーの「現代の経営(上巻pp167~174)」という著書に、次の図にあるような下りが述べられています。



プログラマーというIT技術者は専門家であるだけに、優秀であるほど技術そのものに深入りする傾向にあります。それ自体は良いことですが、得てして技術中心の思考をしがちとなり、何のためにその技術を使うのかということがおざなりになることがあります。この図の場合であれば、本来の目的を忘れた2番目の石工です。


業務システム開発の技術者には、それがどんな方々が、どのように使うことで業務成果が上がるのかということを推察する能力が要ります。しかし、技術主体の教育や研修を受けているだけでは、そういうことに考えが至りません。また、本来はシステム・エンジニア(SE)が利用者側が望むことを開発技術者に正しく伝えることが望ましいあり方ですが、SEも技術が優秀といわれる方が年数を経てなることがほとんどでしょう。では、プロジェクト・マネージャー(PM)やコンサルタントとはというと、技術そのものについてあまり知らないということがあります。


つまり、情報システムの多くの開発には、コンサルタント、PM、SE、プログラマーの間には、避けられないコミュニーケーションのギャップがあること。そして、プログラマーという専門家に、3番目の石工の意識を求めることが相当に難しいという現実があります。その結果、優秀なメンバーを集めたはずなのに、利用者の要求に応えられない、つまり設計の品質を保てずに崩壊するIT化プロジェクトが少なくないという悲劇が起こることになります。



IT(情報技術)という言葉からは、先端というイメージがあります(今ではそうではないかもしれませんが)。ところがシステム作りの現場では、プログラマーが何やら難しそうなプログラムを手入力しています。どう見てもローテクの手作業です。いってみれば家内工業のような現場です。遥か昔の産業革命では、批判はあれど機械によるオートメーション化によって格段の進歩が生まれました。ここで紹介するサピエンスは、このシステム作り、特にプログラミングのオートメーション化を40年前に実現しています。


では、オートメーション化とは何かについて、やはりドラッカーが著書「現代の経営(上巻pp167~174)」で次の図のように述べています



それをサピエンスに照らし合わせると、次の図のようになります。



サピエンスでは設計図を描くとプログラミングをしなくても即動くと言いました。プログラミングは、それこそプログラマーという技術者の数だけ書き方に個性があります。もちろんシステム会社では、プログラムを書くことへの標準化をしていますが、それでも何かしらの個性があります。これは、技術水準の優劣もあれば、プログラマーがこういうコードを書きたいという思いがそれぞれにあるためです。他者のことですが、このプログラムは凄いと感心したこともあれば、ぐちゃぐちゃで何が書いてあるのか分からないという経験を幾度もしています。そういう私もプログラマーとしては底辺を這うレベルの能力しかありませんが。


オートメーション化の話に戻りますが、原理として「複雑そうなプロセスも、単純な基本パターンがある」とドラッカーは定義しています。サピエンスでは、個性があり技術上の優劣もあるプログラミングを原則無くしています。そして、設計図を描くことで動くと言いましたが、その設計図の基本要素を単に5つとしています。5つの要素を組み合わせることで設計図を描いていきます。まるで「レゴ」というおもちゃのように、基本パーツを組み合わせることでモノつくりをします。「レゴ」もより複雑で精巧なものを作るために、大分にパーツのパターンを増やしてはいますが。業務システムは、サピエンスが設計で用意している5つのパーツを組み上げることで相当に複雑なものができることは、これまでの実績で証明しています。つまり、「設計プロセス」を単純化することで、サピエンスはシステム作りのオートメーション化を実現しています。


そして、オートメーション化の仕組みとして「フィードバックで、プロセスの投入と成果をバランスさせる」とドラッカーは述べています。サピエンスでは、設計図を描くとそのままシステムが動きます。この作ったものをそのまま直ぐに検証することは、正にドラッカーが述べている投入と成果をフィードバック・ループで検証させていくプロセスそのものです。


最後のオートメーション化の効果として、「低コストと多様化の両立を容易にする」とあります。サピエンスであれば、プログラマーが不要な分人件費を削減できます。そうでありながら、設計図の部品5つを幾重もの組み合わせで生むパターンの多様性が、業種業態を問わず様々な事業分野で長年利用され続ける結果となっています。当社に限っても、サピエンスで関わったプロジェクトには、旅行代理店、ガス卸売、複数の輸入食品卸とメーカー、議員事務所、農業生産法人など多岐に渡っています。本家本元のサピエンス・インターナショナル社やサピエンステクノロジー・ジャパン社では、それこそ多種多様な業種での実績を誇っています。


サピエンスは、3番目の石工の「業務の仕組みを作っている」という意識を持った方がシステム作りを主導する、まさにIT分野のオートメーション化に先鞭をつけたものです。今はこの分野で幾つものサピエンスもどきのものが出つつあります。また、AIを活用してやはりプログラムが要らない仕組みも出つつあります。今は、IT産業革命の黎明期という時期なのかもしれません。これからは、ますますこの勢いが加速するでしょう。それでは、プログラマーは要らなくなるのかというと、そうではありません。今でも陶芸や織物などでは現代の名工といわれる方々が活躍しています。ITの世界でも優れた職人芸を誇るプログラマーは先端の分野で活躍し続けます。でも、標準品である業務システムであれば、これからの技術革新でプログラマーの存在する場所はどんどん無くなっていきます。サピエンスはそれを証明しています。


今まで述べてきたことを踏まえて、サピエンスでのもの作りの概要を次の図で示します。


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先端の開発技術サピエンスを使って業務運営の知恵を継承し、効率化し効果を高める

計算機科学の分野でも著名なワイツマン科学研究所で、半世紀も前にサピエンスの研究開発を着手しています。その10年後に、米国ナスダック上場企業のサピエンス・インターナショナル社を設立し商用化しています。IBM社のホストコンピューター上で動く商品だったため、IBM社の全面的なバックアップもあって、米国や欧米のグローバル企業での実績を上げています。


日本では、1993年から現在のサピエンステクノロジー・ジャパン社がアジア地域の販売を担っています。当初はIBM社のホストコンピューター向けのみでしたが、現在はIBMのオフコン、そしてWindows向けも商用化され、中堅中小企業でもパソコンから商用のクラウドサーバーで利用することができます。





サピエンステクノロジー・ジャパン社の実績の中でもサピエンスでの開発力を示すのが、次の図にあるコープネット事業連合への導入例です。日次締めで300万超のオーダーを10分以内で処理しています。設計図を読みながら動作するサピエンスでは処理能力が遅いはずだと言われることがありますが、サーバーの能力を強化すれば問題が無いことを証明しています。





当社がプライムで担当した食品輸入卸商社の案件事例で紹介しています)では、サポート切れとなったオフコンシステムのオープン化をサピエンスで実現しました。最初の受注案件だったこともあり、サピエンスを学びながらの対応で脂汗を幾度もかきました。それでも、競合他社の見積額の3分の1の予算で実現しました。もちろんのこと、オフコンの機能はそのまま新システムに移行していますので、担当者であれば半日もあれば操作を習得します。このため、操作説明書は作っていません。




機能範囲は、経営、仕入、在庫、販売、販売とすべての業務項目に及んでいます。当初はオフコンの機能がそのまま移行できればそれで良いということでした。しかし、オフコン利用時には事務所内に数多のメモが飛び交う状況だったこともあり、データの一元管理によってペーパーレス化を実現しています。また、オープン化でパソコンがあれば、いつでも、どこからでも利用できるため、出張先からも在庫状況や仕入や販売の価格動向が見えるようにもなりました。特に日次締めによるリアルタイム経営の実現によって経営管理の機能を強化したことが最大の成果だったということができます。




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